
快音を残した打球を見ながら、日本ハム・清宮幸太郎内野手(26)はゆっくり走り始めた。左中間フェンスを越えると、何度も左手を握り喜びをかみ締めた。同点に追いついた直後の6回無死一、二塁。代わった楽天3番手・加治屋の144キロ直球を捉えた。決勝の5号3ラン。3連打で追いついた直後の打席だっただけに「みんながつくってくれた流れだった。うまく乗れたと思います」と笑った。
狙い通りの一撃だった。「加治屋さんとは何回も対戦させていただいてますし、球質だったり球種も頭に入ってた。うまく生かせたかなと思います」。待っていたのは高めの球。やや甘くなった外角の真っすぐを、一振りで捉えた。打球方向にも「コースなりに飛んでいるんで、いいかなと思います」。ここ2戦は安打が出なかったが、早くも今季5度目のマルチ安打で好調を証明した。
思い描いた姿を表現している。昨季、CS最終Sでソフトバンクに敗れた後、足りなかったものを考えた。「長打力ですね。僕らの長所の一つでもあるので、長所を伸ばして強くなりたい。そこが去年は全然足りなかった」。チームはリーグトップの129本塁打も、自身は12発。「僕が30本打てば優勝に近づく」と語っていた通り、開幕12戦で早くも5発。打点も11に伸ばし、本塁打、打点でリーグトップに並んだ。
新庄監督は「普通、普通。それぐらいやってもらわな」といつも通りの辛口だったが、大きな一発で3カード連続の勝ち越しを決め、開幕3連敗の悪夢は完全に払しょく。今季最多となる貯金2とし、11日からは本拠地でソフトバンクとの2連戦に挑む。「やり返したいです」と力強くうなずいた清宮幸。出はなをくじかれた王者に、まずは開幕の借りを返す。(山口 泰史)